![]() ![]() |
KIII-B-1 |
Losartanはceramideを誘導して幼若イエウサギ圧負荷心の肥大を抑制する |
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学
糸井利幸,岡達二郎,問山健太郎,濱岡建城 |
Losartanはangiotensin II受容体のサブタイプであるAT1 受容体を阻害し,AT2 受容体経由の情報を増強させる.ceramideは肥大抑制,アポトーシスに関する情報伝達に重要な役割を担っている膜構成スフィンゴ脂質で,AT2 受容体刺激によりde novo合成が促進される.圧負荷未熟心へのlosartanの効果とceramideの関係について検討した.【方法】1 週齢イエウサギをシャム群(S群,n = 5),大動脈縮窄作成群(CoA群,n = 6),縮窄作成 + losartan投与群(CoA + L群,n = 8)の 3 群に分けて 3 週間母親と飼育した.losartanは10mg/kgを,他の 2 群には蒸留水を毎日経口投与した.心エコーで左心室壁厚計測後,耳動脈を穿刺して血圧,心拍数を測定し心臓を摘出した.心筋脂質の抽出はBligh-Dyer法を用い,質量分析計ESI-LC/MS(Waters Alliance 2790)にてceramide を同定した.値は平均w標準偏差で表し,各群間の差の検定には分散分析後Scheffe法を用いた.【結果と考察】収縮期血圧,心拍数に差はなかった.心臓/体重比(mg/g)はそれぞれ2.86±0.15,3.43±0.41,2.66±0.40,左室壁厚(mm)は2.1±0.1,2.9±0.4,2.4±0.5といずれもCoA群が有意に高値で肥大を認めた.一方,losartan投与により心肥大は抑制された.ceramideはC16:0 をはじめ 7 種が同定され,湿重量あたりの総ceramide(intensity/g wet)は,CoA群(199.0±81.1),CoA + L群(210.4±96.6)ともにS群(341.0±83.5)より有意に低値で,負荷に対する適応のため,肥大抑制作用を持つceramideの産生が制御されていると考えられた.apoptosisに強く関連するC16 ceramideの総ceramideに対する比率はS群:0.14±0.04,CoA群:0.17±0.03,CoA + L群:0.23±0.04とCoA + L群で有意に高値で,losartanはC16 ceramideを選択的に増加させ,apoptosis増強あるいは肥大抑制の誘導に関与していることが示唆された. |
![]() |
閉じる |