KIV-B-3
高校生学校心臓検診におけるBrugada型心電図例の頻度
福岡市立こども病院循環器科1),福岡市立こども病院新生児循環器科2)
牛ノ濱大也1),佐川浩一1),中村 真1),總崎直樹2),石川司朗1),本田 悳1)

【背景】一般的にBrugada症候群(以下B症候群)の心事故発生の好発年齢は30~40歳といわれており,小児期,思春期におけるB症候群による心事故の発生頻度は明らかでない.また現在B症候群の診断基準がなく,VTによる心事故予防には植え込み型除細動器以外有効な治療法はないとされている.現在,学校心臓検診でのBrugada型心電図(以下B型心電図)例の取り扱いについて,一定の見解が得られていない.【目的】本研究は学校心臓検診におけるB型心電図の頻度,ST上昇の程度を明らかにすることを目的とした.【対象・方法】平成14年度の福岡県における高校生学校心臓検診受診者50,383人(男25,782人,女24,601人)を対象とした.省略 4 誘導心電図の記録より心電図自動解析結果から右脚ブロック例を抽出し,ST-Tが 1mm以上上昇しているものをB型心電図例とした.【結果】右脚ブロックの頻度は,男子3,085人(12.1%),女子782人(3.2%)であり,男子に多く認められた(p < 0.001).うちB型心電図例は全例男子で,26例(0.05%)であった.型別にはcoved型10例,saddle back型16例であった.ST上昇の程度は 1~1.5mmが18人(0.035%),1.5~2mmが 3 人(0.005%),2mm以上が 5 人(0.01%)であった.【考察】B症候群は,若年者突然死の原因の一つになりうる.今回の検討から,B型心電図の頻度は成人での報告とほぼ一致し,全例が男性であったことは興味深い.学校心臓検診にB型心電図を取り入れるためには,B型心電図を呈した群を対象に既往歴,家族歴,心電図検査について一定期間追跡調査を行い,この群における心事故の実態を明らかにする必要がある.仮に心事故が多いとされた場合に初めて心臓検診時の心電図判定基準の作成等の問題について検討する必要がある.

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