![]() ![]() |
KIV-B-6 |
Brugada症候群における12誘導Holter心電図の有用性 |
日本大学医学部小児科1),あいち小児保険医療総合センター循環器科2),福岡市立こども病院循環器科3),広島大学大学院医歯学総合研究科小児科学講座4),新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野5),長野県立こども病院循環器科6),日赤和歌山医療センター第二小児科7),東京医科歯科大学小児科8),鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児発達機能病態学9)
住友直方1),長嶋正實2),牛ノ濱大也3),小西央郎4),佐藤誠一5),安河内聰6),中村好秀7),泉田直己8),吉永正夫9),唐澤賢祐1),鮎沢 衛1),原田研介1) |
【目的】Brugada症候群(BS)はその特徴的な心電図所見から診断されるが,しばしば不完全右脚ブロックでST上昇を示す心電図(irbbb)との鑑別が困難である.この理由は,BSの心電図が日差変動を起こすことにある.今回Holter心電図を用いてBSとirbbbの鑑別が可能かどうか検討を行った.【方法】日本全国10地区11施設の学校心臓健診で,不完全右脚ブロックかつV1でST > 0.15mVのものを抽出した.これらの症例に長時間心電図記録装置(日本光電社製RAC-2103)を用い,四肢誘導,V1~V5誘導,V2の 1 肋間上の誘導(V2u)の12誘導を24時間連続記録した.24時間心電図記録でcoved型の心電図変化がみられた症例には,pilsicainide負荷心電図でのST上昇,加算平均心電図での遅延電位(LP)陽性,電気生理学的検査での心室細動の誘発などの陽性例をBS群(5例)とし,coved型の心電図変化の見られない例をirbbb群(29例)とした.また正常と思われる 9 例(C群)にも同様に心電図記録を行った.記録された心電図のV2,V5,V2u誘導のST上昇の程度と心拍数を15秒ごとに算出し,心拍数(HR)と各誘導のST 上昇(mV)の 1 次相関 (ST = a*HR + b)の傾き(a)と切片(b),心拍数50,100でのST(ST 50,ST 100),平均ST(ST mean)などを各群間,各誘導で比較検討した.【結果】V2,V5誘導ではそれぞれのパラメータに有意差は認めなかったが,V2u誘導ではST meanがBS群2.442±1.617 ,C群0.364±0.152,irbbb群0.755±0.904でBS群が有意に高かった(p = 0.0007).aはBS群 -0.052±0.144 ,C群 -0.003±0.011,irbbb群 -0.007±0.008 でBS群が負の傾きを示す傾向にあったが,有意差はなかった.【結論】BS群では,V2uでの平均ST上昇がみられた.1 日の中でも変動するST上昇に対して,12誘導Holter心電図による心電図記録は,非侵襲的で有用な方法と考えられる. |
![]() |
閉じる |