C-II-16
大動脈弁尖逸脱を伴う心室中隔欠損の形態的評価―Live 3D超音波診断装置を用いて―
国立循環器病センター小児科
黒嵜健一,渡部珠生,山田 修,越後茂之

【背景と目的】最近Live 3D超音波診断装置(L3D)が臨床導入され,三次元画像構築が飛躍的に簡便かつ精緻になった.一方,大動脈弁尖逸脱(CCP)を伴う心室中隔欠損(VSD)において,断層心エコー(2D)では,短絡孔ではなく本来の中隔欠損の位置や広がり,またCCPとの関連などの形態評価に難渋することがある.今回,CCPを伴うVSDの形態評価におけるL3Dの有用性について検討した.【対象と方法】対象はCCPを伴うVSD 7 例で年齢は 1~18歳.2Dでの診断は流出路部VSD 4 例,膜性部VSD 3 例であった.L3DはPHILIPS社製SONOS7500を用い,プローブは専用のx4Matrixアレイ・トランスジューサを使用した.経胸壁的L3D画像を描出して,2D画像と比較検討した.【結果と考察】(1)本来のVSDの位置と広がり:流出路部VSDでは,L3Dで本来の欠損が円錐中隔の欠損として立体的に認められた.2Dではアーチファクトによる円錐中隔欠損と区別しにくい例でも,L3Dでは厚み情報のある画像として描出され明確に判断できた.膜性部VSDでは本来の欠損と三尖弁中隔尖のポーチ形成が立体的に認められたが,2Dでも評価可能であった.(2)CCPの形態:流出路部VSDでは,L3D,2Dいずれでも同様に評価可能であった.膜性部VSDにおいて,右冠尖CCPはL3Dの方が視覚的に捉えやすかったが,2Dでも評価可能であった.無冠尖CCPはいずれでも評価は難しいが,L3D画像を保存してトリミングすることにより評価可能となった.また大動脈弁逆流を伴う例では,3D colorモード画像をトリミングすることにより逆流方向が明確になり,CCP形態との関連が把握しやすかった.

閉じる