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C-II-17 |
新生児・乳児に対する術中経食道心エコーの経験 |
岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科1),岡山大学大学院医歯学総合研究科麻酔・蘇生科2)
小谷恭弘1),河田政明1),藤田康文1),徳永宣之1),末澤孝徳1),本浄修己1),大崎 悟1),岩崎達雄2),石野幸三1),佐野俊二1) |
【目的】心臓手術における術中経食道心エコーの有用性は十分認識されているが,従来新生児・乳児に適したサイズのプローベがなく使用に制限があった.今回小口径プローベの使用経験を報告する.【対象・方法】2003年11月から2004年 1 月に心臓手術を施行した新生児・乳児連続34例を対象とした.新生児10例,乳児24例であった.34例中30例が開心術(Norwood手術 3,動脈スイッチ術 3,CoA complex一期的根治術 4,総肺静脈還流異常修復術 2,TOF根治術 7,VSD閉鎖術 4,両方向性Glenn術 3,CAVC根治術 1,その他 3),4 例が非開心術(BTシャント 3,PAB 1)であった.体重 5kg以下ではALOKA社製monoplane probe(MP)(探触子径 5mm),5kg以上ではbiplane probe(BP)(同 9mm)を使用した.プローベ挿入前後で心拍数,血圧,中心静脈圧,1 回換気量,経皮的酸素飽和度,呼気終末二酸化炭素濃度を比較した.【結果】34例全例にTEE施行可能であった(最低体重2.14kg).MPの挿入前後で心拍数,血圧,中心静脈圧,1 回換気量,経皮的酸素飽和度,呼気終末二酸化炭素濃度に変化は認めなかった.体重 5kg以上の13症例中 9 例はBPの使用が可能であった(最低体重5.17kg).BPが使用できなかった症例は中心静脈圧上昇を認めた総肺静脈還流異常症 1,VSD 1 およびDORV 1,重症大動脈弁狭窄 1 であった.術中は心機能,遺残短絡や狭窄,弁逆流の評価を行い,心内残存気泡をモニタした.総肺静脈還流異常症では術前に肺静脈形態を再評価し,術後は肺静脈 - 左房吻合部の状態をリアルタイムに把握できた.TOF例ではBPの使用により右室流出路狭窄の形態的評価に有用であったが,血流速の測定は精度に限界があった.【考察】小口径MPは循環・呼吸動態に影響なく,体重 3kg以下の新生児にも安全に使用できた.体重 5kg以上の乳児においては,術前の循環・呼吸状態が安定していればBPが使用できた.術中心機能・形態の評価や心内残存気泡の確認が可能となり,手術方針の決定補助に有用であった. |
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