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N-I-2 |
VSD閉鎖術後における無気肺遷延の要因と呼吸管理の指標 |
九州厚生年金病院
松崎 香,元嶋文恵,松岡絵美子,矢野美砂紀,大畑桂子,山口弘恵,小林淳子,細川知子,永江亜紀 |
【はじめに】当院では小児心臓手術において術後無気肺の形成は,肺炎への進展が危惧され,理学療法によりその発症が効果的に予防されること,どのような症例に無気肺の合併率が高いかなどを報告してきた.これまでの検討をもとに,肺理学療法を積極的に取り入れ,肺合併症を起こしやすい開心術後の無気肺の予防と早期改善に努めてきた.今回は,この研究を発展させVSD閉鎖術後の無気肺形成が患児の未熟性,術前の心機能などに影響されるかどうかを検討した.【対象】2001年 1 月~2003年 9 月までにVSD閉鎖術を受けた術前体重が10kg以下の新生児,乳幼児73症例を対象とした.【方法】(1)無気肺形成について,術直後,術当日,術後 1 日目,術後 2 日目の胸部X線写真を調査した.術後 2 日目に無気肺のあった症例(19例)を遷延群,無気肺形成を認めないもしくは術後 2 日目には消失した症例(54例)を非遷延群とし,術前体重,月齢を調査した.(2)前項 1 の検討で無気肺形成は体重 6kg未満かつ月齢 6 カ月未満の症例に多く認められ,これらの症例の遷延群,非遷延群をA群,B群とし,それぞれの月齢,術前体重,Qp/Qs,Pp/Ps,体外循環時間,手術時間,術中バランス,翌日の体重増加率,出生体重,在胎週数をカルテ調査し両群間で比較検討した.【結果】(1)遷延群19例のうち,14例(73%)が体重 6kg未満かつ月齢 6 カ月未満に集中していた.(2)出生体重はA群2,682±346,B群3,051±402とA群の方が小さく,有意差がみられた.(3)月齢,術前体重,Qp/Qs,Pp/Ps,体外循環時間,手術時間,術中バランス,翌日の体重増加率については,A群,B群間での有意差はみられなかった.【結語】体重 6kg未満かつ月齢 6 カ月未満の症例では,出生体重が小さいほど無気肺が遷延する可能性が高く,術後の呼吸管理に注意が必要である. |
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