N-I-9
川崎病に罹患した患児に付き添う家族の不安意識調査
日本大学医学部附属板橋病院
小山奈美子,都 麻美,福原直美

【はじめに】川崎病罹患患者の約20%においては,心臓に後遺症を残すことがあると言われており,また,退院時後遺症がなくとも,動脈硬化などの危険因子となりうる恐れがある.このような疾患に罹患した児を持つ家族を看護するにあたり入院から退院までの間どのような不安があり,私たちが行っている看護でどのくらい不安が軽減しているのかと考えた.そこで今回,入院から退院までの不安や疑問を明確にすることにより,患児とその家族に対する適切な精神的援助につながるのではないかと考え,調査した.【研究方法】入院した患児に付き添う家族10名に,入院時医師より説明が行われた後と退院時の 2 回,アンケート用紙を用いてインタビューを実施.【結果・考察】入院時,退院時ともに不安が一番多く挙げられたのは,合併症についてであった.医師より心臓への危険性を伝えられているためか,ほとんどの家族が,同様の不安内容を挙げており,冠動脈瘤が身体に及ぼすリスクが高いことを家族も理解していることがわかる.退院時,合併症についての不安は入院時より約30%の減少あり,また症状については入院時42.8%だったのが退院時には 0%となった.その要因として今回,冠動脈瘤を形成した児がいなかったことが大きく関係していると考えられ,また外見的な症状が著しく軽快したことや児の苦痛が消失したことで安心感が得られたためと考える.薬については約15%の不安の減少が見られ,一番多く挙げられたのは,ガンマグロブリンについてであったが,使用に際して問題なく終了したため,退院時の不安減少につながったと考えられる.川崎病の急性期では,苦痛を伴う症状が出現し激しく啼泣している児が多い.家族にとって入院という環境の変化や疾患に対して不安を抱いている中,子どもが泣いていることが不安を増強する要因の一つであると考えられる.

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