N-I-18
アイゼンメンジャー症候群の患児の在宅酸素療法を用いた退院指導の紹介
新潟大学医歯学総合病院
近藤由希,森田八重子

【はじめに】小児の生活の質を高めるために,早期の在宅療養に移行させる.今回は18歳女子の在宅酸素療法を用いた退院指導を報告する.【事例紹介】(1)背景:18歳女子,アイゼンメンジャー症候群,高校通信制 3 年に在学,体重39.85kg,身長150cm.(2)既往歴:心雑音,体重増加不良があり,1 カ月健診で心室中隔欠損を指摘され当院にてアイゼンメンジャー症候群と診断.以後呼吸困難,チアノーゼ出現で病院に入退院を繰り返す.(3)入院中の経過:呼吸器感染症を契機に肺高血圧の危機的状態が持続.長期に及ぶ安静と栄養状態の悪化のため左臀部に直径 2cm深さ1.5mmの褥瘡形成あり.症状の軽快した時点で褥瘡の治療・液体酸素システムへリオスの使用法の練習を開始.【看護の実際】酸素療法の指導の経過:入院後 5 日目に主治医から在宅酸素療法の必要性の説明を受け,患児は涙を流して聞いた.日頃からあまり感情を語らない患児であったので,その後の言動に注意を払い観察.入院以来室内の壁面酸素を利用していたが 5 日後にヘリオスの子器の使用を開始.移動できる持続酸素吸入の開始に対して充填などの自己管理の項目が,達成できないため業者の参加を得て患児との相談を実施.患児は充填ができず自信を失い,看護師に依存的になる場面があった.患児の体力や体形,器械に対する位置関係などを観察した結果,安楽にできる充填方法・ナザールチューブの長さの調整・携帯用バッグの使用などを指導.患児は効果的な体重のかけ方を身につけ前向きに自己管理を行った.退院日を決めた時点で医師が自宅に設置する酸素を手配.少々の歩行でも息切れが出現する状態であったことや高校は通信制で月に数回の登校でほとんど自宅で過ごす日々であったため,特に行動の制限をしないで行動の拡大を重視していった.

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