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N-I-27 |
拡張型心筋症患児への援助―家族が納得して治療に参加できた 1 事例を通して― |
東京都立八王子小児病院
森田由紀,加藤悦子 |
【はじめに】心筋症は「心機能障害を伴う心筋疾患」と定義され,拡張型心筋症(以下DCM)の小児慢性心不全治療の情報,看護の文献は少ない.当院ではDCM症例が極めて少ない中,移植ではなく薬物療法での治療を希望した児や家族との関わり,実践した看護を振り返り得た学びを報告する.【事例】5 歳男児,喘息入院歴あり.2001年 6 月25日(2.9歳)心不全のため入院.DCMと診断.薬物輸注,食事療法開始.その後,薬物輸注から内服へ変更.栄養指導を受け 5 回の試験外泊を行い退院.その後も肺炎,慢性心不全の急性増悪のため入退院繰り返し,2003年11月19日の入院の際に両親の希望によりβ遮断薬内服開始となる.【看護の実際】慢性心不全のため呼吸苦,倦怠感,食欲低下がみられた.臥床がちとなり,筋力の低下,同一体位になりやすいことにより仙骨部の発赤を認めるため除圧用マットを入院の度に使用.制限ある食事であったが,主治医の許可を得たうえで,児が摂取しやすい形態や好みをできる限り取り入れられるよう,栄養士と話し合いの場を多く持った.そのことにより児の食事摂取量が増加し,食事は児の楽しみの時間となった.状態が安定してからは,成長発達の維持・増進への援助として本人ができることは実施するよう促し,可能な限り児と接触を多く持つようにした.面会時間には必ず児の様子について話し,両親の気持ちに傾聴した.心不全が悪化し,生命維持が困難な状態との医師からの説明がなされてからは面会時間の調整を行い,両親が自身の気持ちを表現することができ,納得したうえで児の治療に参加できるよう援助した.【考察】特に厳しい説明がなされてからは親子の時間が多く持てるよう調整した.また症状について家族が理解し納得したうえで治療に参加できるよう,医師との話し合いの時間を持てるよう配慮した.その結果,児や家族,医師,看護師との信頼関係が得られたことは入院生活に有効であった. |
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