P-II-A-4
川崎病急性期におけるIVIG 2g/kg 1 回投与後の追加投与例の検討
県立広島病院小児科
木下義久

【目的】川崎病急性期のIVIG 2g/kg 1 回投与(IVIG 2g)に反応しない,IVIGの追加投与例および不応例を臨床的に検討した.【対象と方法】対象は1996年 8 月から2004年 1 月までに当院に入院した急性期川崎病のうち,10病日以内にIVIG 2gを施行した62例.年齢の平均は2.1±1.8歳,男女比34/28.IVIG追加投与はIVIG 2g開始後48時間で37.5度以下に解熱しないものに対して施行.また,1g/kg以上のIVIG追加で終了後24時間以内に解熱しないものをIVIG不応例とし,ソルメドロールのパルス治療(30mg/kgを 3 日間連日)後にプレドニン 1mg/kg 3 日間,0.5mg/kg 3 日間の投与を施行した.【結果】(1)追加投与例は11例(18%).年齢の平均は2.5±1.1歳,男女比は 4/7.追加投与法は400mg/kg 3 日間連日が 7 例,1g/kgが 4 例で,それぞれ 5 例と 2 例に効果が認められた.(2)不応例は 4 例(6.5%).年齢の平均は3.3±0.8歳,男女比は 2/2,入院病日は3.0±0.8病日と早期入院の傾向があったが,IVIG治療開始病日は5.5±1.0病日であった.(3)不応例の治療としてソルメドロールパルスを施行した 4 例では,2 例は速やかに改善したが,2 例は 4~10日後に再び発熱し,冠動脈が拡大傾向になったため,IVIG 1gを 2 回連日追加し効果が得られた.血漿交換を必要とした症例はなかった.【結論】(1)IVIG 2g 1 回で完全にコントロールできない症例は18%認められた.(2)IVIG追加投与例の65%はさらなる治療の必要はなかった.(3)IVIG不応例で,ステロイドパルス治療にも反応が弱い症例に対して,さらに追加IVIGの効果が認められる症例がある.血漿交換の準備をしながら考慮してもよい治療法であると考えた.

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