P-II-A-8
ステロイド非使用例における川崎病冠動脈病変の検討
青森県立中央病院小児科
中田利正

ガンマグロブリン療法が保険診療として行えるようになった1991年以降に発症した川崎病125例を検討した.ガンマグロブリン療法不応例に対してはガンマグロブリン追加療法およびウリナスタチン投与を行い,ステロイドによる治療を行った症例はなかった.死亡例や心筋梗塞合併例はなく,30病日以降に冠動脈瘤合併を認めたのは10例(8%)であった.冠動脈瘤のサイズは中等度瘤が 8 例で他の 2 例は小瘤であり,巨大瘤はなかった.発症から平均 4 年 8 カ月の経過観察で 8 例の瘤の完全退縮が確認された.瘤残存および狭窄性病変が認められたのは 2 例で,いずれも50%以下の狭窄であった.ステロイド非使用例においても生命予後,遠隔期冠動脈病変の転帰は良好であり,治療目標を急性期死亡の回避と重症冠動脈病変の予防に置くならば,積極的ステロイド投与の適応となる症例は少数に限られるものと考えられた.

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