P-II-G-17
右心性単心室症のフォンタン型手術の遠隔期に副腎外褐色細胞腫によるカテコラミン心筋症を併発した 1 例
熊本市立熊本市民病院小児循環器センター内科
中村紳二,八浪浩一

褐色細胞腫はカテコラミンを分泌するまれな腫瘍で,カテコラミン過剰により高血圧・頭痛・発汗・動悸等の症状がある.今回,夜間睡眠中の頭痛で発症し,経過中にショック状態となった心筋症例を経験したので報告する.【症例】16歳,女児.【既往歴】低出生体重児,日齢 1 小腸閉鎖症手術.単心房・右心性単心室症・肺動脈閉鎖症・部分肺静脈還流異常症のフォンタン型手術.【現病歴】入院 3 カ月前,少し走るときつくなった.2 カ月前より午前 3~4 時頃睡眠中の強い頭痛あり.脳波検査で徐波ありフェノバルビタール内服開始しやや改善.入院 4 日前,頭痛と発熱あり救急外来受診.血圧122/92.入院当日は嘔気あり食べられず受診.脈触れず緊急入院.【入院時所見】体重37.5kg,身長139.5cm.口唇やや蒼白.四肢末梢は冷たく冷汗あり,脈は微かに触知.HR 145/min,血圧41/34mmHg,酸素 3 l/分をマスク投与下でSpO2 93%.胸写:CTR 56.3% 肺血管陰影正常.心エコー:心室前壁21mm,後壁16mmと著明に肥厚,内腔が非常に狭い.【経過】輸液・dopamine投与で血圧は上昇,dopamineは中止しpropranolol内服.入院 2 日目の夜に血圧160~180mmHgに上昇し頭痛を伴った.phenoxybenzamineの静注投与で高血圧発作を治療した.腹部エコー,CT,131I MIBGシンチ検査により,右腎門部近傍に腫瘤を検出し,血中・尿中のカテコラミン分画の増加により褐色細胞腫の診断をした.間歇的高血圧発作のコントロールができず,摘出手術により改善した.心筋症はpropranolol内服により軽快している.

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