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川崎病冠動脈後遺症に対する両側冠状動脈バイパス術後に,右側バイパス(右内胸動脈─右冠動脈)吻合部に狭窄を生じた 3 例
和歌山県立医科大学小児科1),紀南綜合病院小児科2),和歌山県立医科大学第一外科3)
鈴木啓之1),武内 崇1),上村 茂1),南 孝臣1),西原正泰1),末永智浩1),吉川徳茂1),渋田昌一2),岡村吉隆3)

【緒言】川崎病冠動脈後遺症に対する外科治療は,内胸動脈─冠動脈バイパス(CABG)が開存率の高いことから多く行われている.しかし,巨大瘤の残存や虚血性変化の有無によって手術時期やバイパス部位の決定は,今も困難な問題である.今回,左右に巨大瘤を合併した 3 例に対して,左右内胸動脈─左右冠動脈バイパス(D-CABG)を行い,術後に何れも右側グラフト吻合部に狭窄を生じたので報告する.【対象】左右冠動脈に巨大瘤を合併した 3 例である(表).症例 2 はRCA領域に,症例 3 はLAD領域に術前の虚血所見を認めたが,症例 1 は認めなかった.【方法】3 例すべてにD-CABGを行った.左右に虚血所見のなかった症例 1 は,術中バイパス直後にグラフト血流が不十分のため,LAD,RCAともに吻合部より中枢側にsnareを加えた.【結果】3 例ともに左側グラフトの開存は良好であった.右側グラフトは症例 3 で早期閉塞,snareを加えた症例 1 は99%狭窄のためPTCAを行ったが不十分で,ステント留置した.症例 2 は軽度の狭窄を認めるが経過観察中である.【まとめ】3 例の経験から,内胸動脈によるCABGの開存率に左右冠動脈で差の存在が示唆されたが,多数の症例による検討が必要である.


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