P-II-A-13
川崎病における血清トロンボポエチン
千葉大学大学院医学研究院小児病態学
東 浩二,江畑亮太,遠山貴子,本田隆文,浜田洋通,寺井 勝

【背景と目的】トロンボポエチン(TPO)は,血小板産生調節の主要因子である.また,感染,外傷後等の二次性血小板増多症では,急性期にTPOの増加を認め,CRP等の急性反応性物質と正相関があると言われている.急性期の強い炎症所見と,回復期の血小板増多が特徴である川崎病における血清TPOの検討を行った.【方法】1997年12月から2003年12月までに当院にて入院加療した川崎病症例のうち,冠動脈後遺症群11例(CAL)と,age matchした冠動脈正常群11例(no CAL)の 2 群に分類し,治療前の急性期と発症後14病日の 2 点での血清TPOの比較を行った.血清TPO値はHuman TPO ELISAキット(IBL社)にて測定した.なお,control群10例を測定し,cut off値を448pg/ml以下とした.【結果】急性期では,血小板,GPTは 2 群間に差はなく,CRPは後遺症群が高値(p < 0.05)であったが,TPO値は正常群が有意に増加していた(no CAL 669.5±272.4pg/ml vs CAL 352.0±121.1pg/ml,p < 0.01).発病後14病日では,後遺症群でGPT,CRPが高値を示したが,血小板とTPO(no CAL 303.7±96.7pg/ml vs CAL 233.9±89.1pg/ml,p = 0.09)は 2 群間において有意差を認めなかった.【結語】冠動脈正常群では,急性期にTPOはCRPとともに増加し,血小板増多時には正常域に戻っていた.一方,後遺症群では治療前,発症後14病日ともにTPOは増加せず,CRPと正相関は認めなかった.川崎病の血清TPOは血小板産生以外の役割もしていると考えられる.

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