P-II-B-12
右鎖骨下動脈孤立症を合併した22q11.2欠失症候群の超低出生体重児例
土浦協同病院小児科1),なめがた地域総合病院小児科2)
大西優子1),渡部誠一1),小林賢司1),太田哲也2)

【症例】在胎30週 5 日,748gにて出生.動脈管が一時閉じたが生後 4 カ月から呼吸障害が再出現して動脈管の再開通を疑われた.メフェナム酸に反応しないため日齢168に体重1,970gで当科へ紹介となった.入院時,2/6 の収縮期および連続性雑音を聴取し,CTR 56%,肺血流増加,肝腫大 2cm,呼吸数60/分,SpO2 = 100%(酸素 1L/分)であった.心エコーでは{SDN},ASD,PSと肺動脈分岐部のやや右側に連続性血流の流入を認めた.また四肢の収縮期血圧は右上肢74mmHg,左上肢95,右下肢96,左下肢92で,鎖骨下動脈起始異常および血管輪を疑った.食道造影・造影CT・心臓カテーテル検査を行い,small ASD(central type),mild valvular PS,右動脈管開存,右鎖骨下動脈孤立症(腕頭動脈と右鎖骨下動脈間は離断し,右椎体動脈から右動脈管を通じて主肺動脈右肺動脈接合部に注いでいた.左動脈管は造影では確認されなかった)と診断した.Qp/Qs = 2.3,LR shunt = 60%,PAp = 44/16(28),Pp/Ps = 0.65,Rp = 2.4であった.subclavian stealのリスクは少ないと判断し,また血管輪の可能性も否定されたので,日齢176に動脈管結紮術を行った.口蓋裂を合併し,22q11欠失症候群であった(家族歴はない).術後呼吸障害は改善し,甲状腺機能低下症の治療も相まって体重が増加して日齢235で退院した.以後呼吸障害もなく順調に成長している.【考察】超低出生体重児に動脈管を合併した病態を当初考えたが,連続性血流の流入部位が通常と異なり,また右上肢の血圧低下を認めたことから,右鎖骨下動脈異常起始症を疑って精査した.その結果,右鎖骨下動脈孤立症と診断し,右動脈管結紮術後は良好な経過である.右鎖骨下動脈孤立症はまれな疾患であるが,TOF + RAAに左鎖骨下動脈孤立症を合併した報告は比較的多く,また22q11欠失症候群に本疾患を合併した報告がある.心エコー所見と血圧測定が診断に有用であった.

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