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Valve sparing operationで自己弁を温存しえた大動脈弁二尖弁,大動脈弁輪拡張を伴ったMarfan症候群の 1 例
国立循環器病センター小児科1),国立循環器病センター心臓血管外科2)
吉村真一郎1),塚野真也1),越後茂之1),荻野 均2),八木原俊克2)

Marfan症候群の大動脈弁輪拡張(AAE)への治療はBentall手術が一般的であったが,今後の妊娠の可能性の高い若年女性への人工弁の使用という大きな問題を抱えている.近年,valve sparing operationの登場により自己弁の温存が可能になってきたが,大動脈弁二尖弁での報告はまれである.今回,大動脈弁二尖弁を伴うMarfan症候群の16歳女児にvalve sparing operationを施行し,術後大動脈弁逆流を認めず,良好な結果を得たので報告したい.【症例】16歳女児.6 歳で漏斗胸手術の既往あり.13歳のとき脊柱側弯で受診した際に,Marfan症候群の疑いを指摘され,大動脈弁輪拡大あり,進行を認めたため当院紹介.身長165.3cm,体重55.36kg,arm span 170.5cm.側弯あり.high arched palate.spider like finger.wrist and thumb sign(+).水晶体亜脱臼は認めず.CTでdural ectagiaなし.心エコー検査,心臓カテーテル検査でA弁はbicuspid,AR(-),aortic sinus 57mm,僧帽弁逸脱を軽度認めた.valve sparing op.(David operation)施行し,自己大動脈弁を温存した.術後経過は順調で,AR(-)で経過している.Davidらによって報告されて以降,valve sparing operationは良好な成績を上げているが,大動脈弁二尖弁での実施例は少ない.しかし,症例によっては良好な結果を得ることができると考える.

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