P-II-D-8
高齢者のTCRV根治術 5 症例の検討
岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科
伊藤篤志,河田政明,小泉淳一,吉積 功,神吉和重,大岩 博,甲元拓志,三井秀也,石野幸三,佐野俊二

【対象】1991年以降当教室で手術治療を行ったTCRVは25例で,5 例は高齢者であった.今回,この 5 例を対象とし,高齢者のTCRVに関して検討した.年齢は47~63歳,男性 4 例,女性 1 例.【経過】主訴は 3 例がDOE,SOBと失神が各 1 例ずつであった.4 例は幼・小児期から心疾患を指摘されるが,未治療のまま放置され,1 例は成人期に弁膜症として指摘され,その後の精査でVSDと診断されるも放置されていた.5 例いずれも小児循環器医にはfollow upされておらず,3 例が内科医から 2 例が循環器内科医からの紹介であった.【診断】TCRVの診断で紹介されたのは 1 例のみで,3 例がVSD,1 例はTOFとして紹介され,当科紹介後 3 例はTCRVと術前に診断されたが,1 例はVSDの術前診断で,術中にTCRVと診断された.【手術】全例初回手術で,右房および肺動脈切開のアプローチでVSD閉鎖と右室異常筋束切除の根治術が施行された.【術後経過】全例,術後合併症を認めず,早期の退院となった.外来follow up中の経過も良好であるが,4 例でVPCを認め,内服処方されている.【まとめ】高齢者のTCRVは,診断と治療のタイミングが遅れ,罹患期間が長いが,外科治療成績は良好である.

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