P-II-D-10
膜性大動脈弁下狭窄の 4 例
大阪市立総合医療センター小児循環器内科1),大阪市立総合医療センター小児心臓血管外科2)
杉本久和1),村上洋介1),江原英治1),兪 幸秀1),九鬼一郎1),西垣恭一2),久米庸一2),上野高義2),関谷直純2)

【背景】膜性大動脈弁下狭窄(以下SAS)の手術の目的を大動脈弁閉鎖不全(以下AR)の発生予防とする報告がある.【対象】1993年12月から2003年12月の間に経験したSASの 4 例.症例 1.18歳男.ダウン症.3 歳時に他院で動脈管結紮術を受けたときにSASに気付かれ経過観察.10歳頃から胸痛出現し当センター受診.心不全が悪化し13歳でSAS切除.症例 2.10歳男.大動脈縮窄術後生後12日.1 歳頃にSASに気付かれ圧較差の進行があり 3 歳でSAS切除.症例 3.7 歳女.生後半年で心雑音に気付かれ大動脈弁狭窄,SASと診断,圧較差が進行し 3 歳でSAS切除.症例 4.12歳男.心雑音からSASと診断し圧較差が進行し 6 歳で心カテを行ったが圧較差が低く経過観察となった.【結果】SAS切除を行った 3 例とも圧較差は低下したが徐々に圧較差が上昇してきている.2 例で手術前になかったARが軽度ではあるが術後に認められた(表).【考案】SASは進行性でARを引き起こすため早期手術を勧める報告もあるが術後の再狭窄の進行や手術によりAR悪化の可能性がある.今回,術後の 3 例とも再狭窄が進行し 2 例に術前になかったARを認めた.【まとめ】(1)ARは手術後に認められ手術はAR発生予防にはならなかった.(2)術後再狭窄の進行に注意が必要である.


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