P-II-D-12
傍膜性部心室中隔欠損における膜性部中隔瘤と欠損口径
近畿大学医学部小児科
三宅俊治,篠原 徹,池岡 恵,竹村 司

【はじめに】傍膜性部心室中隔欠損(P-VSD)におけるいわゆる膜性部中隔瘤(AVMS)は,乳児期早期に形成される頻度が高く,乳児期早期の手術回避に関与している.また,遅い時期のAVMS形成は,遅い自然閉鎖(SC)に関係する.AVMSの形成時期が遅い例の検討を行った.【方法】2~10(平均 5)歳で心臓カテーテル検査(心カテ)を施行し,肺体血流量比(Qp/Qs)< 1.7のP-VSDは70例であった.脱落22例を除く48例中,肝鎖骨位で左室造影を施行した35例を対象とした.Qp/Qs 1.0~1.68(1.2),肺動脈収縮期圧17~36(23)mmHgであった.SC例(カラードプラで確認)を除く28例の最終受診時年齢は,15.2~24.5(18.9)歳であった.心カテ時にAVMSを有した I 群,心カテ後の経過中に心エコーでAVMSを確認したII群,経過中にAVMSを認めなかったIII群に分類した.左室造影で欠損口径を計測し,欠損口を円形と仮定し,体表面積で補正した欠損口面積指数(VSDAI)を求めた.【結果】I 群17例,II群 4 例,III群14例であった.心カテ時年齢・Qp/Qs・肺動脈収縮期圧は,3 群間に有意差を認めなかった.II群のAVMS確認時期は,7.8~17.1(12.1)歳であった.VSDAIは,I 群で最も大(0.08~2.99,median 0.36),ついでII群(0.06~0.17,median 0.09),III群で最も小(0.02~0.10,median 0.06)であった.SCは 7 例(I 群 3,III群 4)に生じ,4.6~21.9(11.3)歳で確認された.【結論】Qp/Qs < 1.7のP-VSDの11%で7.8歳以後の遅い時期にAVMSが形成された.その欠損口面積指数(心カテ時)は,AVMSが早期に形成された例に比較して小であった.しかしながら,遅い時期のAVMS形成例で追跡期間中にSCを生じた例はなかった.

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