P-II-D-13
Fontan手術未施行児の学童期以後の生活状況
千葉県こども病院循環器科1),千葉県こども病院心臓血管外科2)
中島弘道1),青墳裕之1),池田弘之1),澤田まどか1),石橋信之2),渡辺 学2),青木 満2),藤原 直2)

【はじめに】学童期以上まで生存しているがFontan手術未施行の心疾患児の生活状況をFontan術施行例と比較しながら明らかにする.【方法】解剖学的にFontan手術候補で現在学童期以上で生存管理している患児50人中Fontan手術未施行あるいはtakedown例(nonF群)11例の生活状況や血液データ等を施行例(F群)39人と比較した.nonF群の最終手術はGlenn手術 4 例,体肺短絡術 2 人,TCPS 1 人,Fontan takedownが 2 人,未手術が 2 人であった.現在の平均年齢はnonF群13.6歳,F群11.9歳である.nonF群がFontan手術をしていない理由は心機能低下 4 人,肺動脈発育や解剖学的困難などが 3 人,家族の意向が 2 人,Fontan後のtakedown 2 人だった.【結果】最終手術はF群で4.8歳,nonF群で7.2歳であった.胸部XPのCTRはnonF群61.5%,F群49.2%.SpO2はnonF群79.2%,F群93.8%でいずれもnonF群は不良である.またHbはnonF群で高値だった.心機能はEF < 40%の低値はnonF群で 4 人いたがF群にはみられなかった.またANP,BNPはnonF群で高値だった.現在心疾患のために服薬しているのはnonF群は 9 人(82%)でF群は11人(28%)であった.通学通勤はnonF群では 9 人(うち 1 人は社会人)が可能で 1 人は長期入院であったがF群では全員可能であった.学校での運動がC管理以下だったのはnonF群で 9 人(82%)であったがF群では 7 人(18%)と少ない.nonF群の10人は階段を 3 階まで登ることが困難であった.また 3 人が知的障害を合併していた.【考察】nonF群の多くは心機能および学童期の生活レベルともにF群に劣る.とはいえ,多くの症例は通学通勤が可能であった.nonF群の長期予後についてはF群と比較しながら今後の検討が必要であると思われた.

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