P-II-D-14
大動脈縮窄症および大動脈弓離断―成人期に達した症例の検討―
国立成育医療センター循環器科
平田陽一郎,三平 元,豊田彰史,山口佳世,金子正英,磯田貴義,百々秀心,石澤 瞭

【背景】大動脈縮窄症および大動脈離断症候群の長期的予後には(1)術後再狭窄,(2)大動脈瘤形成,(3)並存する大動脈二尖弁や大動脈狭窄・閉鎖不全,(4)高血圧などの問題点が挙げられる.これらは手術方法・手術からの経過年数・性差などが影響するとされる.【目的】これらに関して,当院で経過観察している大動脈縮窄症16例・大動脈離断症候群 6 例の15歳以上の患者について検討した.【結果】平均年齢23.9歳,simple coarctation 5 例,大動脈に対して未手術が 2 例.うち 1 例に対してはカテーテルインターベンションが施行されていた.大動脈縮窄または離断部位に対する手術方法は,CoA症例ではsubclavian flap法 6 例,end to end anastomosis法 3 例,それ以外は 6 例.IAA症例ではgraft reconstruction法 3 例,end to end anastomosis法 1 例,それ以外が 2 例.術後平均経過年数21.5年.(1)術後再狭窄に対してインターベンションを施行したのは 8 例.手術方法などによって有意差は認められなかった.最終の心臓カテーテル検査による残存圧格差は平均14.5mmHg.心エコーによる平均圧格差は20.6mmHg.(2)大動脈瘤はインターベンション後の 1 例に認めた.(3)大動脈二尖弁が 2 例,AS/ARは 2 例.(4)現在の安静時上肢収縮期血圧が140mmHg以上は 2 例で平均124mmHgであった.高血圧に対する内科的治療を継続している例が 4 例.心内膜炎・冠動脈障害および脳血管障害は認められなかった.Turner sydromeが 2 例で,出産を経験したのは 2 例.【考案】今回の検討で,術後遠隔期で高血圧などのさまざまな問題点を抱えていることが改めて明らかとなった.再狭窄に対し成人期にインターベンションを施行された症例もあり,今後も継続した経過観察が必要であろうと考えられる.

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