P-II-E-1
学校心臓検診で発見されたBrugada症候群疑いの 1 家系
土浦協同病院小児科1),曙町クリニック2),土浦協同病院循環器内科3)
渡部誠一1),大西優子1),泉田直巳2),家坂義人3)

【症例】日本小児循環器学会の小児Brugada様心電図研究班の診断基準「右胸部誘導V1,V2,V3のいずれかで,右脚ブロックパターンかつJ点から40msecで0.2mV異常のST上昇かつT波がcovedまたはsaddle back型をとるもの」に合致する小学校 4 年生女子例を平成15年度の学校心臓検診で発見した.IRBBBと右胸部誘導の0.2mVのST上昇およびV1でcoved型,V2でsaddle back型を示した.一肋間上の心電図記録ではV3でST上昇が明確になった.心室遅延電位はf-QRS = 141msec,RMS40,LAS40 = 55msecで陽性であった.運動負荷心電図とホルター心電図では変化を認めなかった.叔父(父方弟)が33歳で突然死していた.14歳の兄と 6 歳の妹に一肋間上の心電図記録,心室遅延電位,ホルター心電図検査を行い,14歳兄で同様にBrugada様心電図を認めた.46歳の父親は一肋間上の心電図および塩酸ピルジカイニド負荷試験で典型的なBrugada波形を示した.以上よりBrugada様心電図を示す 1 家系と思われる.【考察】現在の日本小児循環器学会の小児Brugada様心電図研究班の診断基準に合致する所見により平成15年度の学校心臓検診で,Brugada様心電図を示す(Brugada症候群の可能性が高い)1 家系を発見した.当研究班の診断基準は妥当と思われた.今後,父親への電気生理学検査と本人および同胞への塩酸ピルジカイニド負荷試験を予定しており,合わせて報告する予定である.

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