【目的】PPH患者でPGI₂療法の治療効果判定における 6 分間歩行テスト（6MWT）の有用性を検討した．【対象】1997年 3 月から2003年10月に当院でPGI₂療法を施行したPPH患者29例．男16，女13，年齢 5～22歳（平均12.1±10歳）．NYHA分類，BNP，心エコー，心臓カテーテルと 6 分間歩行距離（6MWD），酸素投与による6MWDと脈拍，SpO₂の推移について比較した．【結果】生存例（n = 21）のPGI₂投与期間は 3～48カ月，最大投与量は43ng/kg/min．死亡例（n = 8）のPGI₂投与期間は 0～24カ月，最大投与量は50ng/kg/min．6MWTは重症例では施行せず，施行後の心不全悪化や不整脈出現はなし．6MWD（m）は中央値390（0～654），1 度（n = 16）：510（430～600），2 度（n = 52）：458（320～654），3 度（n = 52）：327（192～480），4 度（n = 8）：124（0～288）でNYHA分類と相関（p < 0.05）．PGI₂開始後，6MWDは生存例で（a）治療開始前：337（0～520），（b）3～5 カ月：399（210～510），（c）1 年：459（270～570），（d）2 年以降：494（448～654）と経時的に改善（p < 0.05）．BNP（pg/ml）は（a）229（10.6～2,020），（b）109（6.7～780），（c）33.5（2～893），（d）9.2（2～15.2），RV TEI indexは（a）1.1±0.6，（b）1.1±0.6，（c）0.8±1.0，（d）0.5±0.3，Rp（U・m²）は（a）29.1±27.9，（b）21.5±10.5，（c）16.4±11.6，（d）11.5±8.5，CI（l/min/m²）は（a）2.9±1.8，（b）3.3±1.6，（c）4.0±1.7，（d）4.6±1.4であった．死亡例の 6/8 例は6MWDが400以下，2/8 例で30％以上の6MWDの減少を認めた．酸素投与による6MWDは酸素なしで406（120～563），ありで412（110～665），最低SpO₂（％）は酸素なしで93.8±8，ありで95.1±13，最大脈拍数（/min）は酸素なしで139.5±52，ありで142.1±58といずれも有意差なし．【結論】6MWTは重症例では困難だが，心不全の重症度と相関し，治療経過に伴い繰り返すことでPGI₂療法の効果判定に有用である．