P-II-E-16
Glenn手術後の体静脈側副血管に対するコイル塞栓術を併用した肺循環管理
山田赤十字病院小児科1),三重大学医学部小児科2),三重大学医学部胸部外科3)
早川豪俊1),澤田博文2),三谷義英2),高林 新3),新保秀人3),矢田 公3)

【目的と背景】Glenn手術後体静脈側副血管(VV shunt)を伴う例に対してコイル塞栓術を併用した肺循環管理を施行した.【症例 1】HLHSで,日齢26に両側肺動脈絞扼術,modified Van Praagh手術,生後 7 カ月にNorwood/Glenn手術を施行した.1 歳 4 カ月時,肺動脈圧は平均13mmHgであったが,left SVCから多数の静脈が,平行に縦走する太い 2 本の静脈を経てIVCに注ぐVV shuntがみられた.遠位部に,detachable coilを留置し,近位部まで,Tornado Microcoilを順次26本留置し完全閉鎖し,SpO2は改善した.在宅酸素療法(HOT),ACE阻害剤内服下で現在Fontan型手術待機中である.【症例 2】PA/IVSで,日齢21にmodified BT shunt,生後 4 カ月にBlade BAS,生後 6 カ月にGlenn手術を施行した.その後,低酸素血症(SpO2 75%)が進行し,3 歳 4 カ月時,無名静脈からVV shuntを認めた.detachable coilで本幹を塞栓し,さらにTornado Microcoilで塞栓した.コイル塞栓後SpO2 75%から85%に上昇したが肺動脈圧は平均16mmHgと高くBeraprost内服,HOTを開始した.コイル塞栓術 4 カ月後VV shuntは認めなかったが,肺動脈圧は依然16mmHgと高く,扁桃肥大に対し,4 歳 2 カ月時に扁桃摘出術を施行した.7 カ月後の心カテで,肺動脈圧は平均11mmHgと低下し,Fontan手術を施行し,良好な経過を得た.【結語】Glenn手術後のVV shuntに対するコイル塞栓術を併用した肺循環管理(血管拡張剤内服,HOT,扁桃腺摘出術)は,低酸素血症と肺循環の条件の改善などFontan型手術適応を確立するためには有効な治療と思われた.

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