P-II-F-2
運動負荷における血漿BNP濃度変化―正常群と心負荷群との比較―
秋田大学医学部小児科1),秋田大学医学部心臓血管外科2)
豊野学朋1),原田健二1),青木三枝子1),田村真通1),石井治佳1),島田俊亮1),山本文雄2)

【背景】種々の心負荷状態において血漿BNP濃度が増加することが知られている.一方,運動負荷においても正常群と心負荷群とでは心パフォーマンスの相違が認められる.【目的】正常群と心負荷群とにおいて,運動負荷による血漿BNP濃度の変化を検討すること.【方法】対象は30例で平均年齢は10±4 歳.正常小児11例,右室容量・圧負荷群(ファロー四徴症術後)13例,左室肥大群 6 例(肥大型心筋症 3 例,大動脈弁狭窄症 2 例,完全大血管転位症に対する動脈スウィッチ術後の左室機能低下 1 例)に対しエルゴメータを用いて自覚的最大運動時まで負荷した.血漿BNP濃度は安静時,最大運動負荷時,運動終了後10分の 3 点で測定した.【結果(表)】正常群では運動負荷により血漿BNP濃度は増加し運動終了後に低下した.右室容量・圧負荷群および左室肥大群でも同様に運動負荷により血漿BNP濃度は増加するが,運動中止後も低下は認められなかった.血漿BNP濃度増加は左室肥大群が最大であったが,増加率では 3 群間で差を認めなかった(それぞれ38.5%,32.6%,32.6%).【結論】正常小児群と異なり,右室容量・圧負荷群および左室肥大群は運動終了後も血漿BNP濃度増加が持続し,運動後も心負荷が持続している.


閉じる