P-II-F-5
先天性心疾患において,組織ドプラ法によるisovolumic velocityは右室収縮期圧の推定に有用か?
群馬県済生会前橋病院小児科1),群馬大学大学院小児生体防御学分野2)
渡邉正之1),小野真康1),篠原 真1),下山伸哉1),井上佳也2),岡田恭典2)

【背景】最近,Vogelらは,組織ドプラ法による等容収縮期の壁運動速度(isovolumic velocity;IVV)の計測は,load conditionに影響されず,右室収縮期圧(RVP)の推定に有用であることを動物実験で証明した(Circulation. 2002; 105: 1693-1699).われわれは,先天性心疾患のRVPの推定にIVVの計測が有用であるか検討を行ったので報告する.【対象と方法】対象は,先天性心疾患の乳児24名(平均年齢1.8±0.7歳,うち右室流出路狭窄合併 3 例).東芝メディカル社製Aplioを用い,3.5ないし 5MHzの探触子を使用し,四腔断面像描出における三尖弁弁輪の運動速度(IVV)を計測した.同時に,以前よりRVP推定の一指標として臨床的有用性が知られている等容弛緩時間(isovolumic relaxation time;IRT,パルスドプラ法による三尖弁流入血流および肺動脈血流から算出)を計測した.全例に対して,心臓カテーテル検査を施行し,RVPを実測し,各項目の相関を検討した.【結果】(1)対象症例のすべてで,IVVおよびIRTの計測が可能であった.(2)右室流出路狭窄を合併した 3 例を含めて,IVVとRVPは,正の相関を示した (r = 0.807,p < 0.0001).(3)右室流出路狭窄を合併した 3 例を含めるとIRTとRVPは相関しなかったが,右室流出路狭窄合併例を除いた21例では,正の相関関係(r = 0.695,p = 0.0004) が認められた.【まとめ】RVOTの有無にかかわらず,IVVはRVPの推定に有用である可能性が示唆された.今後のさらなる症例の蓄積が必要と考えられる.

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