P-II-F-10
シネアンジオ撮影角度の容積解析に及ぼす問題点と解決法
倉敷中央病院小児科
美馬隆宏,横尾憲孝,田原昌博,脇 研自,新垣義夫,馬場 清

【背景および目的】昨年のわれわれの検討ではファントムの形状や撮影方向により容積が異なった.今回は撮影方向を補正する式を作成して撮影角度を補正することの有用性と問題点についてファントムを用いて検討した.【方法】含鉛粘土を用いて心モデル(容積38.0ml)を作成した.弁輪は15.5mmのリングを用い,長軸として長さ68.0mmのまっすぐな針金を用いた.リングと針金は直角とした.RAO 30度,LAO 25度で撮影した(1).得られた両方の画像から長軸とした針金のそれぞれのX,Y,Z座標をCRT画面上で求め,針金の三次元上での実際の長さを得た.その値から針金がそれぞれの管球面と平行になるように計算式を用いて補正角度を求め,2 方向の撮影角度を変更して撮像した(2),(3).また,針金(長軸)にそれぞれの管球面が平衡となる直行した撮影角度で撮影を行った(4).それぞれの画像から得られた結果をラトックシステムエンジニアリング社製シネ・アンジオ画像解析装置(Heart II ver.1.1.80)を用いて容積計算を行った.また,正面像から長軸長の測定を行った.容積の補正は行っていない.【結果】(1)の容積は32.0ml,長さは61.3mmであり,容積,長さとも実際より小さかった.(2)は容積は34.3ml,長さは68.7mmであった.(3)は容積は33.2ml,長さは68.3mmであった.(4)は容積は30.6ml,長さは67.7mmであった.(2),(3),(4)の長さはほぼ正確であった.容積はいずれも小さく出たが,(2),(3)で角度補正をしたほうがよい結果が得られた.しかし,(4)では長さは実際に近かったにもかかわらず容積が最小となった.これは容積算出のプログラムの問題も考えられた.【結論】心血管造影での計測や容積算出には撮影角度が重要であった.ただ,容積解析プログラムの問題点も考えられるため,今後さらに検討が必要と思われた.

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