P-II-F-13
ファロー四徴症術後患者の血中hANPおよびBNP値と他の心機能計測値との相関についての検討
和歌山県立医科大学小児科1),和歌山県立医科大学第一外科2),紀南綜合病院小児科3)
武内 崇1),末永智浩1),西原正泰1),南 孝臣1),鈴木啓之1),上村 茂1),吉川徳茂1),藤原慶一2),岡村吉隆2),渋田昌一3)

【目的】近年血中hANPおよびBNPが心不全の指標として計測できるようになり,種々の心不全状態でその増加が報告されている.ファロー四徴症術後においてもhANP・BNPの増加を認めることが多いが,その増加が何を意味しているのかは明らかでない.ファロー四徴症術後で心臓カテーテル検査を行った13例につきhANP・BNPを測定し,心臓カテーテル,心臓MRI,胸部X線,心電図所見と比較検討した.【方法】1999年11月以降ファロー四徴症術後症例で心臓カテーテル検査を行った13例についてhANP・BNPを同時に測定した.症例はhANP・BNP測定時 1 歳11カ月から21歳11カ月(平均 7 歳 6 カ月),男 9 例女 4 例,ファロー四徴症・肺動脈閉鎖 6 例,ファロー四徴症・肺動脈狭窄 5 例,両大血管右室起始・肺動脈狭窄 1 例,ファロー四徴症・肺動脈弁欠損 1 例でhANP・BNP測定は術後 6 カ月から14年10カ月(平均 5 年 2 カ月)であった.13例中 9 例で心臓MRI検査を行い肺動脈逆流率を算出した.おのおのの症例で心胸比,QRS時間,心エコーによる左室短縮率,心臓カテーテル検査で右室圧,右室容積,右室収縮率を計測し,hANP・BNPとの相関を比較検討した.【結果】hANPは8.22~152pg/ml(平均54.7),BNPは12.5~208pg/ml(平均54.7)であり相関係数(R)= 0.84と強い相関を認めた.hANP・BNPと他の指標との間でR > 0.5の相関を認めるものはなく,hANPと心胸比(R = 0.37),hANPと右室容積(R = 0.30),BNPとQRS時間(R = 0.35)のみがR > 0.3となった.【結論】ファロー四徴症術後においてhANP・BNPの増加を認めるが,hANP・BNP値と心臓カテーテル,心臓MRI,胸部X線,心電図の間に強い相関を認めるものはなかった.

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