P-II-F-14
小児でのパルス式色素希釈法による心拍出量測定の有用性
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学
藤本一途,田中敏克,坂田耕一,白石 公,糸井利幸,濱岡建城

【背景】循環器領域において治療方針の決定に心拍出量(CO)測定が重要であるが,非侵襲的に臨床応用された測定法は少なかった.しかし近年脈波分光法を用いて動脈血中のインドシアニングリーン(ICG)濃度を非侵襲的・簡便に測定し心拍出量を計測するパルス式色素希釈法(PDD法)が開発され,成人領域ではすでに臨床応用がなされている.本法はICGの末梢静脈投与で簡便かつ繰り返しCO測定が可能である.【目的】小児におけるPDD法の有効性・安全性・問題点について検討する.【対象】非短絡性心疾患もしくは根治術後患者.5 例(1~7 歳,中央値 4 歳).診断は川崎病 2 例,CoA complex術後 1 例,TAPVR術後 1 例,MS 1 例.【方法】通常の心臓カテーテル検査後,TD法・PDD法による測定を続けて行った.ICGは大腿静脈に留置した静脈シースより0.1mg/kgボーラス投与しヘパリン生食10mlでフラッシュした.測定には日本光電社製DDG-3300を用いた.PDD法とTD法・PDD法とangioによるCO測定の相関関係を検討するとともに,PDD法の合併症,問題点についても検討した.相関関係の検定にはピアソンの相関関数の検定を用いp < 0.05を有意とした.TD法との誤差・再現性の検定にはBland and Altmanの方法を用いた.【結果】PDD法とTD法によるCO測定に有意な相関関係を認めた(r = 0.9).PDD法とTD法の平均バイアスは0.57±1.25 l/minでPDD法 1 回目,2 回目の平均バイアスは0.11±0.73 l/minとともに全例標準偏差の 2 倍内に存在しTD法との誤差は少なく高い再現性を認めた.合併症はなかった.【結語】PDD法は小児でも安全かつ有用なCO計測法で今後TD法等に変わりうる可能性がある.

閉じる