P-II-F-17
バルーンカテーテルによる一側肺動脈閉鎖試験―右心バイパス術の適応について―
国立循環器病センター小児科1),国立循環器病センター心臓血管外科2)
高杉尚志1),鶏内伸二1),塚野真也1),山田 修1),越後茂之1),上村秀樹2),八木原俊克2)

【はじめに】肺血管抵抗(Rp)は右心バイパス術適応を決める要素の一つであるが,低肺血流環境では,右心バイパス術後に増加する肺血流量下でのRpを正確に評価できない.また,多血のため,血液粘性によるRp上昇も加味される.われわれは,術前にバルーンカテーテルによる一側肺動脈閉鎖試験で,片側肺血流を増加させ,左右別々にRpを算出して求めた予測Rp(Rp c)を評価し,さらに瀉血によるRp低下を確認した 2 症例を経験したので報告する.【症例 1】AVD,TA,ASD,l-MGA,bidirectional Glenn術後の15歳男児.カテーテル検査では,Qp/Qs 0.28,Rp 4.38u/m2,mean PAp 12mmHgであったが,一側肺動脈閉鎖試験で求めたRp c 2.87u/m2であった.開窓Fontan術後,経過良好で,1 年後Rp 2.37u/m2であった.【症例 2】DORV,hypo LV,CAVC,PDA,bil. SVC,IVC interruption with hemiazygos connectionc,pulmonary artery banding術後の23歳男性.22歳時のカテーテル検査で,Qp/Qs 0.5,Rp 7.57u/m2,mean PAp 21mmHgであった.在宅酸素療法を開始後 1 年に瀉血を行い,施行したカテーテル検査で,Qp/Qs 0.16,Rp 2.54u/m2,mean PAp 9 と改善し,後日行った一側肺動脈閉鎖試験で求めたRp c 3.87u/m2であった.TCPS術後,経過良好で,6 カ月後Rp 1.70u/m2であった.【まとめ】一側肺動脈閉鎖試験や瀉血によるRpの評価は,術後のカテーテル検査でのRpを反映していると考えられた.

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