P-II-G-1
肥大型心筋症を契機に診断されたCostello症候群の 1 例
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児発達機能病態学
八牧愉二,福重寿郎,中村美穂子,西順一郎,河野幸春,野村裕一,吉永正夫,河野嘉文

肥大型心筋症(HCM)を契機に診断されたCostello症候群の幼児例を経験した.【症例】33カ月女児.羊水吸引症候群でA病院入院.心エコー検査でIVST 3.0mm,LVPWT 3.2mmと正常.哺乳不良があり改善しないためチューブ栄養管理で 2 カ月時に退院し,B病院にてリハビリ継続.2 歳 6 カ月時転居に伴いC病院紹介.原因検索の一環として心エコー検査を施行しHCMの所見から当科紹介受診.高度発達遅滞と著明な低体重 (9.6kg),低身長(75cm)あり.カールした髪,浅黒く厚くしわの多い皮膚を認めた.心エコー上LVDd 21mm(75%N),LVEF 92%,IVST 11.6mm,LVPWT 3.4mm,LVOT流速3.1m/s.心電図は左側胸部誘導で低いR波,深いS波を認めた.HCMに加え哺乳障害,毛髪・皮膚所見等からCostello症候群と診断し,療育と定期検査を行っていく方針とした.【考案】Costello症候群は出生後に始まる哺乳障害,発達遅滞を来す症候群で,顔貌や毛髪,皮膚所見に特徴がある.乳幼児期にHCMを呈する疾患としてはNoonan症候群やLEOPARD症候群がよく知られている.本症もHCMを30%程度と高頻度に合併するものの頻度が少なく比較的新しい症候群であることから本邦における報告はまだ多くはない.本症の心筋肥厚は生直後からみられた例の報告もあるが,本例のように後年になり顕在化する場合も多く,時期をおいた心エコー検査再施行は必要である.また,本例の心電図所見はNoonan症候群でもよくみられる所見であり,新生児期にも同様の所見を呈していたことは注意を要するものと考えられた.【結語】乳幼児期HCMの原因疾患の一つとしてCostello症候群の認識は必要である.

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