P-II-G-3
心機能回復後 1 カ月で再燃・劇症型の経過をたどった急性心筋炎の 1 例
国立成育医療センター循環器科1),国立成育医療センター心臓血管外科2)
山口佳世1, 2),三平 元1),平田陽一郎1),金子正英1),磯田貴義1),百々秀心1),関口昭彦2),石澤 瞭1)

【はじめに】ウイルス感染による心筋炎の再発の報告は少ない.今回われわれは,急性心筋炎にて加療し,一時退院した後に再発した症例を経験したので報告する.【症例】生来健康な 8 歳男児.2003年 6 月 9 日,発熱あり,翌日には解熱した.4 日後,登校するも,顔色不良となり,腹痛が出現し,近医受診.鎮吐剤を処方されるが,腹痛増強したため,夜間診療所受診.近医に紹介入院.血液データなどより心筋炎を疑われ,6 月14日,当院紹介受診となった.血液検査でWBC 15,490/μl,CPK 8,025 IU/l,AST 353 IU/l,ALT 90 IU/l,LDH 1,097/l,心電図はwide QRS,心エコーでLV-EF 17%であった.心筋炎の診断で,γグロブリン,カテコラミン投与,人工呼吸器管理施行.徐々に心機能回復し,退院時はLV-EF 71%(入院期間27日間).退院後,外来でジゴシン・カプトリル・利尿剤の内服で経過観察されていたが,同年 8 月 7 日,のどの異和感を訴え,翌日より顔色不良となったため,再入院となった.高CPK血症,エコー上,LV-EF 37%であり,心筋炎の再発として,γグロブリン投与開始.入院翌日,心室性頻拍から心停止をおこしたが,蘇生,ECMO開始した.各循環作動薬にて,心機能徐々に改善.8 月13日,ECMO離脱することができた.9 月24日(第108病日)心筋生検施行し,単核細胞の浸潤,間質には軽度線維化があり,亜急性のウイルス性心筋炎の病理診断を得た.その後,神経学的後遺症も残さず,10月10日退院した.【考案】一見治癒したと考えられたものの,1 カ月後に劇症化の経過をたどった心筋炎を経験した.外来でのフォローアップにおいても,再発の可能性を念頭において指導・経過観察するのが望ましいと考えられた.小児急性心筋炎の再発の報告は少なく,文献的考察を加えて呈示する.

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