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B-III-19 |
心拡大,横隔膜ヘルニアに伴う肺低形成は胎児期に予測しうるか─胎児エコーによる肺動脈,肺静脈の評価に基づく検討─ |
埼玉医科大学小児心臓科1),埼玉医科大学産婦人科2)
竹田津未生1),小林俊樹1),石戸博隆1),松永 保1),増谷 聡1),先崎秀明1),小林浩一2) |
【背景】著明な心拡大や横隔膜ヘルニア(CDH)では,肺低形成の程度が予後に大きく影響し,肺動脈径,血流パターン,発症時期などが出生前予測に有用とされるが,ほぼ満期になって発見される例も多く,発症時期が不明な例,児の体位等により肺動脈描出が難しい例がある.【目的】胎児肺動脈(PA)評価に肺静脈(PV)の評価を加えた場合,肺低形成の程度の予測に有用かを検討.【方法】最近 2 年間に心拡大やCDHに伴う肺低形成が疑われた 8 胎児につき,胎児エコー上のPA,PV径,血流を評価し,出生時蘇生に要した呼吸補助から推定される,あるいは剖検上の肺低形成の有無との関係を検討.【結果】Ebstein奇形 4 例,共通房室弁逆流 1 例,CDH 3 例,受診時35±3 週,胎児期に 1~5 回のエコーが施行された.初回の胎児心エコーで両側のPAが描出可能であったのは 5 例,両側PV血流は左PA描出不可の 2 例を含む 7 例で描出可能であった.CDHの 1 例で経過とともにPA,PVとも描出されなくなった.胎児期にPA,PVとも描出しえなかった 1 例(Ebstein奇形)と週数とともにPA,PVの描出不能となった 1 例(CDH)は,出生時の蘇生にHFO,NOを要し,呼吸循環維持が困難で日齢 3,日齢 1 に死亡した.PA,PVとも描出可能でPA径が 2mm以上であった 1 例(Ebstein奇形,修正大血管転位)がやはり蘇生にNO,HFOを要し,出生当日に死亡したが,剖検では肺低形成は軽度であった.残る 5 例はいずれも胎児期のPAは 2mm以上で,偏側のPAが描出できなかった例もあったが,PV血流は両側で可能,出生時通常の蘇生に反応した.【結語】PA径は肺低形成の程度をよく反映している可能性があるが,週数の進んだ胎児では時に描出困難である.PV血流をあわせて評価することにより,PA描出の困難な児においても肺低形成の評価が可能となる症例があると考えられた. |
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