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D-III-12 |
成人期に達した川崎病冠動脈障害既往者 |
天理よろづ相談所病院小児循環器科
松村正彦,須田憲治,田村時緒 |
【背景】川崎病の報告から37年が経過し,成人期に達した冠動脈障害既往者は年々増加している.心筋梗塞や狭心症の発症例が発表される一方,経過観察からの脱落例も多く長期予後については不明な点が多い.【目的】成人期に達した川崎病冠動脈障害既往者の臨床像を明らかにすること.【対象】川崎病既往が確実で,1972年から2003年までの31年間に当院で施行した心血管造影検査(CAG)で冠動脈瘤・拡大を認めた患者で,18歳に達した50例のうち1999年以後に受診した30例(60%).男性19例,女性11例.年齢は18歳から33歳(中央値21歳).観察期間は 7 年から31年(平均14±9 年).【結果】(1)発症時期:乳児期13例,1~4 歳17例.(2)急性期治療:アスピリンのみ27例,ガンマグロブリン併用 3 例.(3)症状:心筋梗塞 1 例,狭心症 3 例.(4)CAG:2~6 回(中央値3.5回).(5)冠動脈病変数:1 枝12例,2 枝 9 例,3 枝 6 例,冠動脈瘤・拡大退縮 3 例.(6)冠動脈病変部位(重複あり):LMT 7 例(すべて瘤・拡大),LAD15例(瘤 2,狭窄 9,閉塞 4),LCX 7 例(瘤 5,狭窄 2),RCA 19例(瘤 3,狭窄14,閉塞 2).(7)心筋シンチ:25例中 9 例(36%)に異常所見あり,うち 4 例はCABG手術施行.LAD領域 3 例とRCA領域 2 例は無症候で経過観察.心エコー上で心機能低下例はなかった.(8)CABG手術 4 例(13%):狭心症 3 例と無症候性心筋虚血 1 例.1 枝 2 例(19歳,30歳)(いずれもLAD),2 枝 1 例(13歳)(LAD,LCX).3 枝 1 例(13歳).(9)高度肥満を 6 例(20%)に認めたが,糖尿病や高脂血症はなし.既婚者 4 例で妊娠出産例なし.(10)5 年以上未受診20例のうち55%に狭窄病変を認めた.【結論】(1)有症状者 4 例のうち 3 例にCABG手術が施行された.(2)冠動脈異常は 2 枝病変と 3 枝病変が50%を占め,心筋シンチ異常も36%あり今後の注意深いフォローが必要である.(3)5 年以上未受診例が40%あり注意を要する. |
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