N-II-3
ICUにおけるラダー開発への取り組み―クリニカルラダーによる評価を試行して―
兵庫県立こども病院
西澤由美子,中田 諭,石本敦子,箕浦洋子

【はじめに】医療の高度化に伴い看護においても専門的な知識や技術が求められ,臨床現場では看護の質を向上させる現任教育が重要となっている.そこで,ICUの看護に必要な知識・技術を体系化し,リーダー,プリセプターの導入時期の指標や個人の能力開発の資料とするため,クリニカルラダーチェックリストを作成した.今回,クリニカルラダーに基づいた評価を試行したので報告する.【研究目的】ラダー評価の結果分析を行い,問題点と今後の課題を明らかにする.【研究方法】4 名の看護師にラダーチェックリストに沿った評価を行い,その結果を集計する.【結果・考察】4 名の看護師のラダーチェックに要した時間は,4~10時間(平均7.5時間)であり,その時間に実施された評価は全体の項目の58.2%であった(全671項目中,平均411項目).家族看護・成長発達・看護計画に関する項目は実施されておらず,原因として,評価項目が多い,評価者の不慣れ,到達目標が抽象的であることが考えられた.また,全体を通し実践経験の少ない脳神経管理,除細動などの項目は,正確な知識・技術が習得されておらず,教育が必要であると思われた.ラダーによる評価は,個人の知識や技術の習熟度が明確となり,個々の課題が明確になるだけでなく,評価を受けた看護師の傾向を踏まえることで,今後の教育計画に活かすことができる.【まとめ】今回すべての項目のチェックをすることができなかったが,現在の評価方法は実施に時間を要する,達成目標が抽象的であるという問題点が明らかになった.今後の課題として,評価手順を再考し短時間で評価する工夫を行う,到達目標の再検討を行い具体的な内容にすることが必要であることがわかった.ラダーによる実践評価は,個人の教育指標となるだけでなく,全体の看護師の教育計画に反映させることで質の向上につながる可能性がある.

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