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N-II-9 |
一酸化窒素吸入療法中の室内窒素酸化物濃度―看護師の曝露レベル― |
福岡市立こども病院
安部裕子,片岡純子,水野圭一郎,石川司朗 |
【背景・目的 】選択的に肺血管拡張する一酸化窒素ガス(NO)吸入療法が臨床応用され,有効性が報告されている.NOは酸素と反応して毒性の強い二酸化窒素(NO2)をはじめとする窒素酸化物(NOx)を生成するため,取り扱いに注意を要する.今回われわれはNO吸入療法中の患者を担当する看護師が曝露するNOx(NO2)曝露濃度を測定した.【方法】NO吸入療法中の患者を担当する看護師の襟元にガステック社製拡散式NO2検知管(パッシブドジチューブNo.9DL)を装着し,同一患者を担当する看護師が検知管を引き継ぎ24時間曝露濃度を測定した.NOは800ppmに調整されたボンベとNOブレンター(福岡酸素社製FOS-1000またはFOS-H)を用いて投与した.病室(ICU)容積は584M3,換気条件は5,940M3/hrであり,NO療法の余剰ガスは室内大気中に拡散した.【結果】本治療の適応が認められた患者(11例)にNO 2~20ppm(平均6.7ppm)を投与した.看護師(のべ33名)の平均NO2の曝露濃度は0.027ppm/hr(0~0.0625ppm/hr)であった.【考察】8 時間労働を基準にしたNO2ガスの許容濃度(STEL)は 5ppm以下で,全対象患者11例の看護師の労働環境は許容範囲内にあり,わが国のNO2環境基準「1 時間値の 1 日平均値が0.04~0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下」をも 1 例(0.0625ppm)を除き満たしていた.この結果は減圧式化学発光方式のNOx測定装置を用いて当院が行ったより厳密な実験結果を支持するものである.これらより,適切な換気が可能な病室におけるNO吸入療法は,低濃度(800ppm)のガスボンベを使用し,適切な供給装置を用いることにより特殊なNOx余剰ガス回収装置を用いずとも環境に対して有意な悪影響をもたらすことなく使用が可能であると結論できる. |
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