N-II-10
ヘッドボックスを使用した窒素ガス混合低酸素換気療法における看護
札幌医科大学医学部附属病院
横井友紀,石山めぐみ,黒田夕香,加藤由美子

【はじめに】窒素ガス(N2)と空気の混合ガスで換気を行う窒素ガス混合低酸素換気療法(以下N2療法)は人工換気下に行われることが多いが,当院においてはヘッドボックスによるN2療法を施行している.本法を行った 3 例を報告し,看護師の役割,看護のポイントについて考察する.【方法】新生児期の肺血流量増加型心疾患では多呼吸,尿量減少など肺血流増加の症状が現れた場合,速やかにN2療法を開始することを原則としている.ヘッドボックス内にN2を混合し,ボックス内のFiO2を0.14~0.19に調節し,患児のSpO2を80%前後に保つことを目標とした.【症例 1】在胎37週 4 日,3,280gで正常分娩にて出生.日齢 1 に総動脈幹遺残と診断され,日齢 2 に当院へ搬入.利尿薬等による内科的治療を続けたが,徐々に多呼吸・頻脈・尿量減少を認め,日齢12よりN2療法を開始.以後,同療法を継続し,日齢130に心内修復術を施行された.【症例 2】在胎40週 5 日,2,890g,緊急帝王切開にて出生.生後まもなくよりチアノーゼを認め,日齢 0 に当院へ搬入.僧帽弁閉鎖,左室低形成,心室中隔欠損,大動脈弁下狭窄,大動脈縮窄,動脈管開存と診断され,PGE1投与およびN2療法を開始.日齢15にNorwood手術を施行された.【症例 3】在胎38週 5 日,2,422g.右胸心,両大血管右室起始,共通房室弁口,肺動脈閉鎖,動脈管開存,総肺静脈還流異常(下心臓型)と診断され,PGE1投与およびN2療法を開始.総肺静脈還流異常の修復術ならびにBT短絡手術を予定している.【考察】ヘッドボックスによるN2療法により安定した循環動態で外科治療に臨ませることができた.本法は鎮静なしに行いうる反面,児の体動や啼泣,睡眠状況にSpO2が左右される.また,ヘッドボックス内のFiO2は不安定になりやすく,患児の呼吸状態,SpO2,尿量などを指標としてN2流量を調節した.適宜ヘッドボックスを開放するなどにより循環動態の安定化を図ることが重要であると考えられた.

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