ランチョンセミナー9 
川崎病冠動脈障害における心臓核医学の役割
日本大学医学部小児科
唐澤 賢祐
 近年,心臓核医学はハードおよびソフトの面で開発が盛んである.核医学的診断法の特徴である低侵襲的手法であることに加え,高速処理が可能な機器の進歩とともに99mTcおよび123Iを主とした製剤が開発され,心機能動態解析を合併させた心電図同期心筋SPECTと心交感神経機能および心筋脂肪酸代謝イメージングが臨床に用いられている.小児において被曝および画質の面を考慮しても十分臨床に役立つものである.特に川崎病冠動脈障害の病態および重症度評価においては重要な診断法になると考える.心臓核医学検査は煩雑,結果を十分評価できないと思っている小児循環器医も多い.ここでは,心筋灌流評価,心電図同期心筋SPECTによる心機能評価について,基本的な検査法,読影法を解説し,臨床に少しでも役立てていただければ幸いである.
 小児心臓核医学は,症例に適した核医学的診断法を選択し適切な撮像方法を行うことによって,非常に有用かつ低侵襲的な診断法になる.しかし,画像診断の上では,体動,small heartや肝集積の近接などのアーチファクトを評価し,また,SPECT再構成のための画像処理が行われているものであることを常に念頭に置いて診断することも必要である.今後,心臓核医学は心筋血流評価に加え,機能的画像診断法として進歩し,さらに定量性に優れたものになることが望まれる.
 川崎病冠動脈障害例の低侵襲的手法によるフォローアップの理想像として,運動負荷心筋SPECTによる心筋灌流および心機能の評価とマルチスライスCT による冠動脈造影で冠動脈の形態評価を行うことが普及することを期待する.


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