B-I-9
先天性心疾患術後患者における運動耐用能と運動時低酸素血症の 6 分間歩行テストによる評価
久留米大学医学部小児科1),天理よろづ相談所病院小児科2)
須田憲治1),松村正彦2)

【目的】6 分間歩行テスト(6MWT)を用いて,先天性心疾患(CHD)術後患者における,運動耐用能と運動時低酸素血症(EIH)の頻度と程度,それに関わる因子を検討する.【方法】対象は,A:非チアノーゼ型CHD術後38例,B:チアノーゼ型CHDの 2 心室型修復術後81例,C:チアノーゼ型CHDのFontan型修復術後15例.6MWTを施行し,歩行距離,歩行前のSpO2,歩行中の平均SpO2と心拍数を記録した.歩行中のSpO2 < 92%を,EIHとした.Bの24例とCの 7 例では,%肺活量,一秒率,肺拡散能 = %DLCO/VAを記録した.【成績】3 群間に年齢で有意差はなかったが,BとCの歩行距離は,Aよりも短かった(中央値:B510m,C480m対A 565m).Cの歩行前のSpO2はAやBよりも有意に低かった(C96%対A98%,B97%).歩行中のSpO2は,C < B < Aの順で有意に低かった(C93%対B96%対A97%).CのEIHの頻度は,33.3%でAやBよりも多かった(A2.5%,B9.4%).運動時のHRはAが有意にBやCよりも多かった(A94/分対B83/分,C83/分).%肺活量と一秒率は,BとCの間で有意差を認めなかったが,Cの%DLCO/VAは,Bよりも有意に低かった(C75%対B94%).プールしたデータでは,%DLCO/VAは歩行中の平均SpO2と有意な正の相関を認めた(r = .43).【結論】6MWTで評価したチアノーゼ型CHDを有していた患者の運動耐用能は,非チアノーゼ型CHD修復術後患者に比べて低下している.Fontan型修復術を施行した患者ではEIHは,高頻度で認められ,程度も強く,このEIHには拡散能の低下が関与していると考えた.

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