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B-I-11 |
冠動脈瘻を合併した18トリソミーの 1 例 |
北里大学医学部小児科
松浦由希子,堀口泰典,中畑弥生,藤野宣之,小川夏子,石井正浩 |
【背景】18トリソミーは最近まで生命予後絶対不良とされ新生児期に積極的に治療されなかった.しかし,成人まで生存する例も報告されるようになり,その治療方針の変更が行われている.【目的】われわれは冠動脈瘻を合併した18トリソミーの 1 例を経験した.これまで合併の報告はみられずまれな 1 例と考え報告する.【症例】在胎37週 3 日出生時体重2,180gで出生.現在生後 1 歳 6 カ月の女児.出生直後,外表奇形(ロッカーボトムヒール,オーバーラッピングフィンガー,特異的顔貌等)から18トリソミーが疑われ,染色体検査で診断が碓定した.心エコー図上,膜様部に7.7mm径の心室中隔欠損(VSD)を認めた.肺高血圧(PH)ありシャントは両方向性であった.他に左冠動脈前下行枝の血流が61cm/secと高速で心室中隔(IVS)から右心室内へ流入する血流を多数カラードプラ法により認めた.経過に伴いIVSのエコー輝度上昇が認められ特に上昇した部分が斑状に混在するようになった.また,冠動脈から右心室への流入血流も引き続き認められている.また,タリウム心筋シンチにより欠損が心室中隔,左室前壁~心尖部にかけて認められた.本例は気道の問題があったが家族の希望もありHOTを導入して安定し,成長している.HOT導入後もVSDのシャントは両方向性でPHが持続しているが,心機能は保たれている(LVEF 79.3%).【考察】従来18トリソミーの心血管病変としてVSD,polyvalvular nodular dysplasia,TOF,TGA,DORVなどが報告されている.生命予後はこれらの疾患そのものというよりPHにより左右される可能性が示唆されている.本例で認められた冠動脈瘻も血液のスチールにより心筋障害が発生してきており,予後を左右すると考えられた.【結論】(1)VSD,PHに冠動脈瘻を合併した18トリソミーの 1 例を経験した.(2)冠動脈瘻は心筋障害をきたすことにより本疾患の予後決定にかかわるものと思われた. |
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