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K-III-1 |
PTPN11遺伝子変異と心疾患の関連 |
慶應義塾大学医学部小児科
仲澤麻紀,古道一樹,林 拓也,土橋隆俊,福島裕之,山岸敬幸 |
【背景】PTPN11遺伝子は,細胞内シグナル伝達を制御する脱リン酸化酵素をコードする遺伝子である.Noonan症候群の約40%,LEOPARD症候群の約85%にPTPN11遺伝子のヘテロミスセンス変異を認めることが報告され,両症候群に合併する心疾患の発症に関与する可能性が示唆されている.【対象および方法】臨床症状から診断されたNoonan症候群またはLEOPARD症候群の心疾患合併症例から,インフォームドコンセントを得て,末梢血リンパ球を採取,DNAを抽出した.抽出したDNAを用い,PTPN11遺伝子の全15エクソンをPCR法で増幅した後,塩基配列決定法により遺伝子変異解析を行った.対象となったNoonan症候群は40例で,心房中隔欠損症(ASD)単独 6 例,肺動脈狭窄症(PS)単独12例,ASD + PS11例,肥大型心筋症(HCM)6 例,その他 5 例だった.LEOPARD症候群は 4 例で,HCM 3 例,僧帽弁逆流(MR)1 例だった.遺伝子変異のタイプと心疾患の表現型との関連を検討した.【結果】Noonan症候群では18例に13種類の変異,LEOPARD症候群では 3 例に 2 種類の変異を認めた.Noonan症候群では,ASDとPSが変異陽性例の多くを占め(15/18例:83%),変異はexon3とexon8に集積(13/15例:87%)した.HCMでは変異陽性例は1例のみだった.一方,LEOPARD症候群ではHCM 3 例全例が変異陽性で,exon7とexon12の変異であった.【考察】PTPN11遺伝子の変異と心疾患の表現型について,本研究ならびにこれまでの報告例を検討した結果,ASD,PSはexon3およびexon8と関連性が高く,HCMはexon7およびexon12と関連性が高いことが示唆された. |
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