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K-III-3 |
Noonan症候群におけるSHP2変異体のphosphatase活性と表現型の解析 |
大阪大学大学院医学系研究科小児発達医学講座小児科
高橋邦彦,小垣滋豊,黒飛俊二,青木寿明,難波範行,大薗恵一 |
【背景】Noonan症候群の病態は,PTPN11遺伝子がコードする非受容体型tyrosine phosphataseであるSHP2蛋白の機能獲得型変異によることが報告されている.これまでNoonan症候群の表現型と遺伝子型との関連性についての報告はあるが,SHP2蛋白の活性レベルと表現型との関連を解析した報告はない.【方法】Noonan症候群と診断した16症例で末梢血から抽出したgenomic DNAを用い,DHPLC法・direct sequence法でPTPN11遺伝子の変異検索を行った.ヒトfibroblastから野生型SHP2 cDNAをcloningし,mutagenesisにより症例で認められた変異体を作製.タグ付き発現ベクターに組み込んだ後,リポフェクション法によりCOS7細胞に遺伝子導入し無血清で培養した.免疫沈降法で回収した変異SHP2蛋白のphosphatase活性を測定し,表現型との関連性を調べた.【結果】16症例中 5 症例で 4 変異部位を同定した.phosphatase活性は,D61N・E139Dで明らかな上昇を認め,Y279Cでも若干の上昇を認めたがQ510Eでは減弱していた.心臓の表現型はE139Dの肺動脈狭窄以外は全例肥大型心筋症(HCM)であった.【考案】Noonan症候群にみられる変異SHP2蛋白のphosphatase活性は無刺激下で多様であることが示された.しかし,phosphatase活性レベルにかかわらずHCMが合併しており,心肥大のメカニズムに関する検討が今後の課題である. |
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