E-I-7
心エコーにより肺動脈弁閉鎖不全症重症度を評価する種々の方法についての比較検討
千葉県こども病院循環器科
建部俊介,青墳裕之,中島弘道,久保達也,池田弘之

【背景】TOF(ファロー四徴症)心内修復術後症例においてPR(肺動脈弁逆流)による右心容量負荷の評価は大変重要である.従来心エコー法によるPR重症度評価法は種々報告されているが,小児においていずれの方法が優れるか結論は出ていない.【目的】心エコーによる各PR重症度指標について,PR程度と関連があると推測される右室拡張末期容積対正常%値(RVEDVI%)との関連を検討すること.【対象と方法】対象は右室流出路再建を含む心内修復手術後でPRを有するCHD 33例(検査時平均年齢112 ± 53.6カ月,平均術後期間71.8 ± 51.3カ月).内訳はTOF 24例,TOF/PA 5 例,DORV 3 例,TOF/ECD 1 例.方法はRVOTのCW波形から連続 3 心拍で(1)PR持続時間,(2)拡張期時間,(3)PR波形のPHT(pressure half time),(4)PR波形,駆出波形の時間速度積分値(TVI)を,color Dopplerより(5)PR幅,(6)RVOT幅を計測した.3 心拍平均値を用いて,(1)PR時間/RR^0.5(RRは心電図のPR時間),(2)PHT,(3)PR時間/拡張期持続時間およびそれを心拍補正したもの,(4)PR幅/RVOT幅,(5)PR幅/BSA^0.5,(6)TVI F/R(前方流と逆流のTVIの比率),(7)PR fraction〔(4)を直径とする円の面積 × (6)から拍出量,逆流量を計算し,その比を求めた〕の 7 指標を計算し,断層エコー法より求めたRVEDV指標対正常%値と関連を検討した.【結果】RVEDVI%はPR幅/BSA^0.5との間に最もよい相関(r = 0.73,p = 0.01)を示した.またPR幅/RVOT幅(r = 0.45)およびPR fraction(r = 0.48)と弱い相関を認めたが,その他の指標とは相関がなかった.【結語】小児においてRVEDV指標対正常%値とよい相関を示したPR指標はPR幅/BSA^0.5であった.成人のTOF術後のPR評価に有用とされる,PRの持続時間による評価法は年少時を含むTOF術後では良好な相関は見いだされなかった.

閉じる