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E-I-17 |
ヨード造影剤使用による甲状腺機能への影響の検討 |
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学1),京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科2)
藤本一途1),糸井利幸1),小林奈歩1),浅妻右子1),梶山 葉1),奥村保子1),田中敏克1),白石 公1),浜岡建城1),山岸正明2) |
【背景】血清中のヨード濃度が急上昇すると,甲状腺へのヨード結合が減少し甲状腺機能が低下することが知られている(Wolff-Chaikoff effect).複雑心奇形に対する治療やカテーテルインターベンションの発達に伴い,小児に対するヨード造影剤の使用量が増加しているが甲状腺に対する影響はほとんど知られていない.【目的】心臓カテーテル検査でヨード造影剤を使用した症例について甲状腺機能への影響を明らかにすること.【対象】2003年10月~2004年 8 月に心臓カテーテル検査を施行し,家族より甲状腺機能検査の同意を得た16例.(男児 5 例,女児11例.日齢23~6 歳.中央値 2 歳)【方法】造影直前と造影後24時間での血中TSH,T3,T4を測定し,年齢・体重あたりの使用造影剤量と比較検討した.造影剤はイオヘキソール(オムニパーク300TM)を使用.体重あたりの使用造影剤量は1.77~6.9ml(中央値3.79 ± 1.16ml),体重あたりの最低使用造影剤量は1.77ml/kgであった.統計はウィルコクソン順位和検定を使用.【結果】甲状腺機能が正常値以下となった症例はなかったが,T3,T4は造影剤使用前値と後値で有意差をもって減少した(T3:1.5 ± 0.24→1.39 ± 0.20IU/ml,p = 0.035.T4:10.45 ± 2.17→9.72 ± 1.42IU/ml,p = 0.0008).TSHは有意差を認めなかった.T3,T4低下の程度は年齢・体重あたりの使用造影剤量とは無関係であった.【考察】小児に対するヨード造影剤の使用により血中T3,T4 が低下していた.心臓カテーテル検査後早期の手術を要する症例では,ヨード性消毒液を用いた心臓手術により術後甲状腺機能低下がさらに増強する可能性があり,十分配慮することが必要である. |
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