P-I-A-3
肺静脈還流異常を合併した左心低形成症候群の検討
東京大学医学部小児科1),東京大学医学部心臓外科2)
小野 博1),賀藤 均1),犬塚 亮1),戸田雅久1),杉村洋子1),渋谷和彦1),五十嵐隆1),村上 新2)

【目的】肺静脈還流異常を合併した左心低形成症候群の特徴を検討する.【対象】2002年12月~2004年12月に東京大学附属病院に入院した肺静脈還流異常を合併した左心低形成症候群の新生児 4 例.それぞれの臨床的特徴について検討した.【結果】肺静脈の還流形式を下記に示す.症例 1 はcommon chamberを形成し,冠静脈洞に還流していた.症例 2 は三心房心を合併し,accessory chamberと右房,左房がそれぞれ交通し,その上accessory chamberから垂直静脈を経由し,無名静脈にも還流していた.症例 3 は左上肺静脈が垂直静脈を経由し,無名静脈に還流していた.症例 4 は,左右上肺静脈が垂直静脈を経由し,左上大静脈に還流していた.肺静脈狭窄を呈したのは症例 2 と症例 4 の 2 例であった.卵円孔の大きさは 2~6mmで,卵円孔レベルでの血流のうっ滞を呈したのは症例 2 の 1 例のみであった.左心系の弁は,僧帽弁閉鎖,大動脈弁閉鎖が 3 例.僧帽弁狭窄,大動脈弁閉鎖が 1 例,上行大動脈径は1.6~2.5mmで平均1.95mmであった.動脈管は全例 4mm以上開存していた.左上大静脈遺残が 2 例で認められた.肺動脈に異常は全例認めなかった【結論】左心低形成症候群に合併した肺静脈還流異常は還流が複雑で診断が難しい.肺静脈狭窄を呈した例は 2/4 例であった.大動脈弁は全例閉鎖しており,上行大動脈は 3/4 例が 2mm以下で非常に細かった.肺静脈還流異常と上行大動脈の低形成に何らかの因果関係が推測される.

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