P-I-A-5
第 5 弓遺残の 1 手術例
九州厚生年金病院心臓血管外科1),九州厚生年金病院小児科2)
落合由恵1),井本 浩1),坂本真人1),梶原敬義1),安藤恒平1),瀬瀬 顯1),弓削哲二2),渡辺まみ江2),城尾邦隆2)

5 歳の男児.風邪で近医を受診した時に,背部の心雑音を指摘され,紹介医を受診.大動脈縮窄症と診断された.心臓カテーテル検査の結果,心内奇形なし,右心系には異常なく,大動脈造影で,縮窄した第 5 弓遺残と,豊富な側副血行路,最上肋間動脈,気管支動脈,内胸動脈の拡張が認められた.また,上行大動脈と下行大動脈の間に45mmHgの圧較差がみられた.手術は,右側臥位,左第 4 肋間開胸で行った.術中,体性誘発感覚電位(sensory evoked potential)を持続的にモニターした.左房脱血,下行大動脈送血にて心拍動下に,十分に大動脈弓を剥離し,大動脈弓部と下行大動脈に16mmの人工血管(Hemashield GoldTM)をinterpositionした.術後圧較差は消失し,術後経過は順調であった.偶然に背部の雑音で発見された 5 歳男児の第 5 弓遺残,大動脈縮窄症に対し,大口径の人工血管を用いた大動脈弓の再建を左開胸,左房脱血,下行大動脈送血にて心拍動下に安全に施行できた.

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