P-I-A-7
冠状動脈瘻の 1 例─手術適応を中心に─
東邦大学医学部第二小児科(大橋病院小児科)
道海秀則,二瓶浩一,池田周子,細野稔彦,青木継稔,松尾準雄,四宮範明

7 歳 4 カ月女児.3 歳児健診にて心雑音に気づかれ冠動脈瘻と診断された.以降,年に 1,2 回の経過観察が行われてきたが,手術適応の有無の確認のため心臓カテーテル検査を目的に入院した.全身状態は良好であり,胸骨左縁第 4 肋間に連続性雑音を聴取するのみであった.胸部X線検査にて,心胸郭比47%.心電図正常.心エコー検査にて右冠動脈は直径 5mmで拡張しており,右室内に瘻口からのジェット血流が検出された.心臓カテーテル検査にて,Qp/Qs:1.56,L-R shunt:0.35,主肺動脈圧20/3/8mmHgであり,選択的冠動脈造影にて著明に拡張し蛇行した右冠動脈が造影され,その先は右室に開口していた.現在,抗凝固剤等の投与は行っていない.心不全のない小児の本疾患に対する手術適応は困難とされ,さらに手術の時期も判断の分かれるところである.自験例に関しても,従来から言われているように心不全症状が出現するまで経過観察を続けるべきか,小児期のうちに積極的に手術等を勧めるべきか,現在検討中である.

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