P-I-A-10
3D心エコー図法を用いた小児の心腔容積の計測
自治医科大学小児科
飯野眞由,保科 優,市橋 光,齋藤真理,森本康子,白石裕比湖,桃井真里子

【目的】心腔容積の計測は心機能評価のうえで必須の検討項目であるが,従来のMモード法や 2D心エコー図法のみでは正確な評価は困難である.3D心エコー図法を用いることでより正確な心腔容積を求めることができれば臨床的意義は大きい.今回,われわれは 3D心エコー図法を用いて小児の左心容積を算出し,心臓カテーテル・造影検査で得られた結果と比較検討した.【対象】当院小児科に心臓カテーテル検査目的に入院した 8 カ月~15歳の小児 6 名(川崎病 3 名,動脈管開存 3 名).【方法】心臓カテーテル検査・左室造影後30分以内に,心尖部にプローブを当て 3D心エコー図検査を実施し画像を記録した.超音波診断装置はPhilips社製SONOS7500で,2MHzの電子セクタプローブを使用した.記録した画像をTomTec社解析ソフト 4D Cardio-Viewを用いて解析し,再構築した画像から左室容積を算出した.左室造影は,大腿動脈から逆行性に挿入したpigtailカテーテルから 1~1.5ml/kgの造影剤を 2 秒で注入し,画像をSiemens Hicor T.O.P.を用いて解析した.左前30度の左室造影像で左室収縮末期および左室拡張末期における左室内腔をトレースし左室容積を計測した.【検討項目】(1)3D心エコー図法で算出した左室容積と左室造影から計測した左室容積(2)3D心エコー図法で再構築に用いた断面数(4 断面,8 断面)での誤差,について検討した.【結果】(1)3D心エコー図から算出した左室容積は,造影検査から求めた左室容積とよく相関した(EDV;Y = 0.934 × -0.183,相関係数r = 0.933,ESV;Y = 1.072 × -0.771,相関係数r = 0.918).(2)3D心エコー図法で再構築に用いた断面数(4 断面,8 断面)で左室容積の計測値に差を認めなかった.【考察】3D心エコー図法は,4 断面を用いても小児の左室容積を正確に計測できる.

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