P-I-G-4
原発性肺高血圧症における肺小動脈の病理組織学的検討
東邦大学医学部付属大橋病院病院病理学講座1),東邦大学医学部第二小児科(大橋病院小児科)2)
横内 幸1),大原関利章1),若山 恵1),高橋 啓1),二瓶浩一2)

【目的】重症肺高血圧症では,plexiform lesionという糸球体様構造が形成されるのが特徴的とされている.この糸球体様構造については詳細な検討がなされているが,その末梢に広がる拡張血管の走行についての検討は少ない.そこで,これらの病変を中心に肺動脈の三次元的な解析を行い,血管の走行を探った.【方法】対象は原発性肺高血圧症にて死亡した 6 歳女児例.連続薄切標本を作成しHE染色およびElastica-Goldner染色を行って,まず肺動脈の内膜,中膜の厚さや糸球体様構造の分布,大きさなどを評価した.次いで三次元解析ソフトを用いて各肺動脈枝について立体構築を行った.【結果】肺動脈には中膜の筋性肥厚および内膜の線維性肥厚が高度にみられ,ところどころで分岐部に著明な内膜肥厚による内腔閉塞がみられた.糸球体様構造は径350~80γmの肺小動脈の分岐部に内膜肥厚部から連続するように生じており,その大きさは350~50γmであった.また,糸球体様構造の末梢の拡張血管は,気管支壁や肺胞壁内へ向かうもの,内腔閉塞部をはさんで近位側の肺動脈に接続するもの,および糸球体様構造同士を連絡するものが観察された.さらに肺動脈枝の数を増やして検討し,報告する.

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