P-I-G-5
原発性肺高血圧症に対しsildenafil投与を行い改善が得られた 3 例の検討
社会保険中京病院小児循環器科1),東邦大学医学部第一小児科2)
加藤太一1),久保田勤也1),西川 浩1),松島正氣1),中山智孝2),佐地 勉2)

【背景】小児における肺高血圧症に対してsildenafilはその適応,用法等に一定の見解はまだない.今回原発性肺高血圧症(以下PPH)の 3 例に対しsildenafil投与により改善が得られたので文献的考察を含め報告する.【症例 1】発症時 7 歳女児.失神,易疲労性によりPPHと診断.PGI2持続静注療法を開始した.2 年後に20ng/kg/分まで増量しても効果の減弱が疑われた.カテーテル検査にてPA圧90/49(63),AO圧98/57(72),RpI 23.9単位のためsildenafilの投与を開始,著明な運動能の改善を認めた.このためPGI2を減量したところ約 4 カ月後には易疲労性の増悪,心拡大を認め,PA圧103/56(71),AO圧107/64(78),RpI 26.1単位と増悪し,sildenafilの増量を余儀なくされた.【症例 2】発症時16歳女性.労作時呼吸困難からPPHと診断.診断時PA圧131/79(100),Ao圧115/61(78),RpI 36.1単位.PGI2持続静注療法開始し漸増.2 年後にはPA圧64/34(52),Ao圧124/63(82),RpI 11.6単位と改善していた.sildenafil投与を開始しPGI2は増量中止とした.現在状態は安定し,PGI2の減量は行っていない.【症例 3】発症時12歳女児.労作時呼吸困難からPPHと診断.beraprost内服開始し2カ月後のカテーテル検査でPA圧59/32(46),Ao圧97/56(71),RpI 11.1単位であった.sildenafilの内服を追加して現在経過観察中である.【考察】sildenafil投与は有効であるがPGI2の減量は慎重に行う必要がある.また発症早期の例など症例によってはPPHはPGI2の持続静注は行わずsildenafil + beraprostの内服にて管理しうることが示唆された.

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